4月になって職場に新入社員が入ってきました。上司や先輩は新鮮さを感じるとともに、悩み事が発生する時でもあります。それはジェネレーションギャップ。世代間に生ずる知識・考え方・価値観などの違いといわれています。最近の若者は、働くにあたってどのような意識を持っているのかを探ってみましょう。
(1) 日本生産性本部の「新入社員の働く意識調査」
日本生産性本部では毎年、新入社員の働く意識調査を実施していますが、最近はコロナの関係で中止しています。2019年の調査が最新ですが、そこからも最近の若者の傾向が読み取れます。ポイントをまとめてみました。
・働く目的は「楽しい生活をしたいため」39.6%
かつてトップの座にあった「自分の能力をためす」は減少の一途で10.5%を記録しています。米国で最も高いといわれている「社会の役に立つ」は日本では最下位の9.3%です。
・働き方は「人並で十分」が過去最高を更新して63.5%
かつては最上位を不動のものにしていた「人並み以上に働きたい」(29%)は減少傾向。「人並で十分」は63.5%と34.5ポイントまで差が開きました。
・「仕事中心」と「私生活中心」のどちらを重視するかでは、「私生活中心」が多数
「私生活中心」の考え方は最近顕著になってきているという話を聞きますが、実は1991年がピークでした。その後、減少から最近は上昇傾向にあって17%、「仕事中心」は6%と11ポイントの差があります。なお「両立する」は77%となっています。
・「若いうちは好んで苦労することはない」が最近は増加傾向にあり過去最高の37.3%
この反対が「若いうちは進んで苦労すべき」という回答ですが、減少傾向にあります。それに対して、「若いうちは好んで苦労することはない」が急上昇をし、過去最高を更新しました。最大54.3ポイントあった両者の差は過去最少の5.9ポイントでした。
(2) リクルートマネージメントソリューションズの調査
21年の「新入社員意識調査」より、主なものを紹介しましょう。
・働きたいのは「お互いに助け合う職場」68.4%で過去最高。「お互いに鍛え合う職場」は過去最低の13.6%
この回答以外に、「お互いに個性を尊重する職場」が過去最高の44.9%となっています。厳しさよりも、和を重視する傾向がみられます。
・「厳しい指導や引っ張っていくような上司」よりも「傾聴し丁寧に指導をする上司」を望んでいる
「相手の意見や考え方に耳を傾けること」(51.3%)と「一人の人に対して丁寧に指導すること」(47.7%)がトップ2となった。「言うべきことは言い、厳しく指導すること」は25.2%だった。
今まで常識と思っていたことに対して、若い世代は全く違う行動を取る。そんな時にジェネレーションギャップを感じます。40歳以上の声をまとめてみました。
この6つの事例を「新入社員の働く意識調査」と照らし合わせると、納得のいく理由付けができます。「私生活中心」の価値観であれば、「定時で帰り、誘いを断る」のは当たり前といえます。「楽しい生活をするために働く」のであれば、仕事一途の生き方に驚くばかりでしょう。
また、傾聴と丁寧な指導を望んでいる中で、厳しいことを言われたら、ストレスを感じると思います。
この40歳以上の方に、このような若者意見に対して、あなたならどう考えるかを聞いてみました。次のような回答が寄せられました。
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